事例の解説
「人生後半戦の経済面を含めたライフプランニングシート」を活用したキャリアコンサルティングの事例です。お子さんの進学や夫婦の老後生活に向けたマネープランを相談者自身が考え、そしてご家族との相談のきっかけとしてツールの活用を提案しています。ツールを活用することで、現状やこれからのことが「見える化」されますので、夫婦での協力に向けた話し合いにも有用であることがわかります。
相談内容のポイントです。
・上のお子さんは大学進学を控え、進学先を選択する必要がある。
・下のお子さんは高校進学を控え、私立に進学する可能性がある。
・現在、家計を支えているのはAさんの収入のみ。
・現在、貯金はまったくできていない。
以上を踏まえ、ライフプランニングを検討していきます。まず、最もお金が必要となるのは上のお子さんが社会人になるまでの向こう4年間です。その間に下のお子さんは3年間は高校に通学し、その後大学に進学する可能性があります。つまり、必要資金としては上のお子さんが大学4年生の時期がピークとなることが予想されます。その後は負担がなめらなかになり、4年後には下のお子さんも社会人になっていると仮定して、7年間のマネープランを立てることが必要になります。
また、並行して夫婦の老後生活に向けたプランニングも必要になります。現在、Aさんは48歳ですので、7年後には55歳になります。そこから定年までは10年ありますので、この10年間は老後資金を貯蓄するための期間として考えておくことができます。ただし、高齢に近づくにつれて介護保険料の負担や、病気・ケガのリスクについても考慮しておく必要がありますので、余裕を持ったプランを立てることが重要です。
Aさんご自身のキャリアについては、現在の役職で10年以上が経過しておりこれ以上のキャリアは望めないと語られています。この状態をキャリアプラトーと呼びます。『プラトー』(Plateau)とは、高原または台地の意味です。キャリアをある程度上り詰めてしまって、これ以上は上が望めないと感じている状態です。多くの場合、目標を見失い、モチベーションの低下を感じています。
40歳以降の中年期に陥りやすく、組織(会社)でこれ以上、昇進昇格できないと考え、その後の目標が見いだせない状態のまま働いていることを指します。今回の相談者はキャリアプラトーについて、「やりがい」といった観点での悩みは語られていませんが、収入の限界を感じています。残業代はなく、副業も認められていないため現状の収入以上は見込めない状態です。
そこで、奥様にも協力をしてほしいと考えていますが、話を切り出すきっかけがなく悩んでいます。「人生後半戦の経済面を含めたライフプランニングシート」を活用することで、経済曲線が見える化されます。これを活用して奥様との相談をしてみると、新たな視点が生まれるかと思います。
現状は上のお子さんに”べったり”かもしれませんが、4年後には社会人になって自立をしていくことが見えてきます。その頃には下のお子さんも大学1年生になり、もしかすると親元を離れて生活をするようになるかもしれません。未来の夫婦の生活がより鮮明に見えてくるのではないでしょうか。お子さんが自立したあとの生活を想像すると、働くことへの向き合い方も変わってくるかと思います。
ツールを活用したキャリアコンサルティングは「お金の工面のため」だけではなく、人生をより豊かに健やかにするためのものです。相談者ご自身、そしてご家族の方の未来をより豊かに、健やかな日々を実現できるように、中長期的な目線でかかわっていくことがキャリアコンサルタントには求められるでしょう。
***本記事のキャリアコンサルティング技法・ツールの活用事例は以下の書籍で詳しく解説されています。***
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