事例の解説
職場のあなた再現シート(職場における対応力チェック)の活用事例です。本事例の相談者は上司からの勧めでキャリアコンサルティングに訪れており、来談きっかけが自らの意思ではないことを考慮する必要があります。キャリアコンサルタントは対話の中で積極的な質問を投げかけ、相談者の抱える問題を職場や上司との関係も包括しながら捉えていく必要があります。
相談のポイントを整理します。
・マネージャー(上司)の勧めで来談
・あまり人と話すのは好きではない。話しかけられるとその日のペースが乱される感じ。
・同僚でシステムに詳しい人がおり、その方に聞いて仕事を進めることがある。
・マネージャーと相談せずに進めたことで咎められた。
・日頃から噛み合っていないことも指摘されている。
・自分の判断で進めてしまうことがあり、すすんで相談をすることがない。
職場のあなた再現シート(職場における対応力チェック)を活用する相談者の例では、言葉遣いやマナーなどの社会人に求められる資質に足りないものを感じさせることがあります。今回の事例でも、言葉遣いについて稚拙な印象を与える表現が見受けられます。また、行動や発言についても同じように社会人として、そして組織人として必要な報告、連絡、相談などが行えていないことが事例記録から読み取れます。
コミュニケーションの傾向に関する小さな気づきもたくさんあったかと思います。例えば次の場面です。
先日そのことでちょっと・・・。
(マネージャーさんよりもシステムに詳しい方が同僚にいらっしゃって、その方に聞くことが多い。そのことで・・・なにかありましたか?)
はい。ありました。
(どんなことがあったのか、お差し支えのない範囲で構いませんので、お話いただけますか?)
日本語は主に意味の内包性が高く、ハイ・コンテキストな言語的文化を持っています。例えば、「それやっといて」という言葉には主語や期限、対応のあり方までもの意味が含まれているということです。今回の事例では、「なにかありましたか?」という質問には、そのなにかを教えてください。という意味が含まれていますが、相談者はあったかなかったかを問われていると受け取り、YESとだけ応答しています。
マネージャーから指摘された「噛み合わない感じ」は日常の小さな気づきの連続による印象であることが想像されます。職場のあなた再現シート(職場における対応力チェック)では、10の場面に対して自分がその場面に遭遇したらどのように反応するか、書き込んでいくことでコミュニケーションのあり方を共有することができます。
ツールを活用することで日頃からのコミュニケーションを見直すきっかけとすることができます。相談者と共に課題を見つけることができましたら、次にアプローチの方法も検討していくことが大切です。代表的なものとして、相手も自分も大切にした自己表現やコミュニケーション手法「アサーショントレーニング」があげられます。
職場関係の問題は、相談者だけではなく周囲の理解や協力も仰ぎながら、相談者を見守る視点でかかわっていけると良いでしょう。
***本記事のキャリアコンサルティング技法・ツールの活用事例は以下の書籍で詳しく解説されています。***
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