事例の解説
エンプロイアビリティ(employability)とは、雇用され得る能力を指します。雇用(employ)と能力(ability)を組み合わせた言葉で、対外的には転職するための能力、対内的には所属組織に適応し成長する能力を意味します。
エンプロイアビリティは先天的な能力ではなく、社会人としての経験や自己理解、仕事理解を通じて養われていくものです。今は正社員として働く自信が今一つ持てない相談者ですが、これまでの経験を振り返ることで仕事への向き合い方や周囲との関係性など、自分の良いところや伸びしろを確認することができます。
事例のポイントです。
・派遣先で3年を迎え、キャリア選択のタイミングにある。
・本当は正社員で働ければ一番いいと思っている。
・大学卒業して就職することができず、正社員の経験がない。
・正社員を目指して就職活動をするとしてもアピールするものがない(と思っている)。
・どんな風に正社員を目指したらいいのかわからない。
注意すべきは自己肯定感が低い若年層へのかかわり方です。例えば、「なにをやってもだめだ」という相談者に対して、キャリアコンサルタントが慌てて「そんなことありませんよ。」と否定をしても、逆効果になる場合があります。基本姿勢を大事に、しっかりその気持ちを受け止めることが大切です。「なにをやってもだめだ」と今はそう思っている。その気持ちを大切にしてあげることです。
エンプロイアビリティチェックシートを活用することで、社会人に求められる能力を整理しながら「できていること」「不十分なこと」を見出すことができます。なにもかもだめだと思う相談者でも、仕事場面での日常行動を要素に分解して見てみると、「これはできているかもしれない」という気づきが得られるかと思います。
自己チェック欄には次のふたつのチェックを行います。
◎:普段できていることや自信のあること
〇:心掛けているが不十分だと思うもの
シートの特徴は×ではなく〇で示されていることです。できていないことを明確にするためのツールではなく、日頃できていると思うことや積極的に心掛けていることに注目しています。できていることや意識をしていることに注目することで、強みを明確にすることと同時に肯定感を高めることも期待されます。
今回のキャリアコンサルティングのかかわりプロセスを整理します。
①正社員に対して自信が持てない気持ちをしっかり受け止める。
②受け止めた気持ちを伝え返すことで関係性を確かにしていく。
③できていることや心掛けていることを相談者自身が理解する。
無理に自己肯定感を高めようと励ましたり、急いで正社員に向けた活動をうながすのではなく、まずはしっかりと相談者の気持ちに寄り添い、相談者の歩幅で理解を深めていくプロセスを共にしてかかわっていきましょう。
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