今回のコラムでは『主訴』の正しい捉え方について解説したいと思います。最近の傾向では、口頭試問で『主訴』がなにかを直接的に問われることは少なくなっていますが、試問の文脈には含まれていると考えられます。
CC協議会/JCDAに共通して、今後の進め方・支援方針については必ずと言っていいほど試問されますが、このときにも主訴を正しく理解しておく必要はあります。また、JCDAではクライエントの状況と気持ちを簡潔に説明することを求められる場合があります。
主訴はこの時の後者(=気持ち)に相当します。
つまり、この面談でクライエントが最も訴えたい気持ちはなにかが主訴に当たります。それでは、次の場面で「状況」「気持ち」そして「主訴」をそれぞれ分けて考えてみましょう。
▮ 事例記録
*キャリアコンサルタントが今後の研磨に生かすための、作成途中の事例記録
相談者情報:Aさん・男性・30歳
略歴:新卒で入社した企業で人事部に配属。
家族構成:妻30歳(会社員)
相談者の話した内容
カッコ内はキャリアコンサルタントの発言
実は、先日私が所属する人事部が縮小するという話が発表されました。現在、人事部に所属している人の半数以上が間接部門から直接部門に移るそうで、私もそうなるのではないかと今から不安です。直接部門は外部の顧客とやり取りをして業務を動かすオペレーションを行っています。私は入社してからずっと間接でしたので、社内のことはよくわかるのですが、顧客とのやり取りはほとんどしたことがありません。営業部の人手が不足しているというのも知っていますので、もしかすると営業部になるかもしれません。そうなれば私は転職しようかと思います。ちょっと営業はやっていけないというか、自分には合っていないと思います。
(以下、略)
▮ 解説
それでは、「状況」「気持ち」「主訴」をそれぞれ分けて考えてみます。まずは状況からです。ここではクライエントの主観的な考えや気持ちではなく、客観的な事実関係を正確に把握することが大切です。次に気持ちを整理します。これは、クライエントが事実関係をどう受け止めているのか、主観的な捉え方です。
● 状況
・人事部が縮小し、半数以上が直接部門に移る。
・クライエントも異動の対象になるかもしれない。
・クライエントは直接部門で働いた経験がない。
● 気持ち
・異動になるかもしれないと今から不安。
・営業部になれば転職をしようかと思う。
・営業は自分には合っていないと思う。
このようにまずは事実関係と気持ちを頭の中で整理しながら、お話を聞いていきます。キャリアコンサルタントがクライエントを取り巻く事実や感じている気持ちを正しく理解できているか、復唱・要約をしながら確認していくことも大切です。
今回の主訴を考えてみましょう。主訴は、この面談で最も訴えたかったことです。多くの場合、最も訴えたいことは<今の気持ち>です。人事部が縮小することや、半数が異動になることは最も訴えたいことではなく、訴えたい気持ちの背景にある状況です。主訴を捉える場合には、その状況に対して「どう感じているのか」を正確に理解することがポイントです。
それでは、今回の例で主訴は次のうちどれに当たりますでしょうか。
① 異動になるかもしれないと今から不安。
② 営業部になれば転職をしようかと思う。
③ 営業は自分には合っていないと思う。







