相談者情報:Oさん、女性、45歳
略歴:専門学校卒業後、企業の一般事務で派遣業務のヘルプ窓口に従事。退職後、休職期間を経て現在は人材派遣会社のコーディネーターとして勤務。
今回ご紹介するロープレ事例はキャリアコンサルタントとしてはドキっとしてしまうかもしれない相談事例です。相談者自身がキャリアコンサルタントになりたいという相談です。キャリアコンサルタントとして教えてあげたい倫理観や実際の働き方、考え方がありますが、あくまで今回はクライエントとして来談されています。
重要なキーワードはなんでしょうか。来談の目的はなんでしょうか。
今回の事例では「キャリアコンサルタント」という言葉に引っ張られないようにかかわることが重要ではないかと思います。キャリアコンサルタントはクライエントが抱える悩みの本質から考え出した対処的な解決策かもしれません。本当はキャリアコンサルタントになりたいという気持ちよりも、ワークライフバランスの良い仕事で”安心したい”という気持ちが強いのではないでしょうか。
キーワードは「不安」です。
面談の中で不安という表現が繰り返されており、このままのワークスタイルでは続けていけるか未来に対して不安を抱えています。この不安に触れるかかわりが大切です。
面談の後半で年齢的な不安が語られています。体力のいる仕事で長く続けることが不安。そこが悩みの起点になっています。体力がなくなってきても無理なく働いていける安心が必要なのです。そのためにクライエントが考えてきた解決策がキャリアコンサルタント資格やリモートワークのようです。
最終的にキャリア選択を決めるのはクライエント自身ですが、キャリアコンサルタントが「資格」や「リモートワーク」に焦点を当ててしまうと、クライエントと共にその方向に流されてしまい、主体的な自己決定の機会を逃してしまうかもしれません。
さて、クライエントの問題はどのように見立てられますでしょうか。限られた情報の中ですがいくつかのヒントがあります。例えば、この方のキャリアは「派遣という働き方」に長く携わってこられたということがわかります。
今の仕事が続けられなくなったとするとその先のことが想像もつかないわけです。リモートワークや資格取得についても、クライエントの中で想像が広がってしまっているように見受けられることも重要な気づきです。
今回の事例で気を付けるべきポイントは、キャリアコンサルタント自身がどうしても自分事として受け取ってしまいやすいことです。キャリアコンサルタントとしての働き方について質問を受ける場面もありますが、キャリアコンサルタントと一口に言ってもその働き方は多種多様です。クライエントの中でイメージが先行してしまっているかもしれませんので、情報提供には細心の注意を払う必要があるでしょう。
また、クライエントから向けられた自分への関心に反応してしまうと、そこから主体はキャリアコンサルタントになります。面談の流れが大きく変わっていきますので、気を付けましょう。






