国家資格キャリアコンサルタントでありながら『占い師』の知人がいます。キャリアコンサルタントとしても、占い師としても優秀な彼女はまた『カウンセラー』の顔を持ちます。
今回のコラムでは、『占い』とキャリアコンサルティングについて考えてみたいと思います。突然ですが、皆さんはこんな話を聞いたことはありますか?
「キャリアコンサルティングが上手な人はまた、『占い』が得意である。」
『占い』と聞くと、非科学的な印象があり、アカデミックな立場からキャリアのあり方を探求するキャリアコンサルティングとはまたかけ離れた世界のように思う人も少なくありません。
確かに、そのような側面も大いにありますが、しかし、キャリアコンサルティングと『占い』にはいくつか重要な共通点があります。
そのひとつが『質問』の力です。

▮ 占い師の質問は的確!?
占い師というのは能動的なアドバイスをくれる存在ですが、的確な質問がされることも特徴のひとつです。占いが上手な人は、質問が上手です。こちらが聞いてほしいことを、聞いてくれます。占いにはアドバイスを求める側面とともに、聞いてほしいことを話せた実感=カタルシスを得るという効果があります。
「なにを質問すればいいのか。」
これに関しては、国家試験を控える受験生も頭を悩ますところです。数ある質問の中でなにを質問すればよいでしょうか。クライエントや面談場面によって違うと思うかもしれませんが、実は、どんな人にも共通する答えがあります。
それは、『クライエントが最も聞いてほしいこと』です。まるで<とんち>のような答えですが、本当にこれに尽きます。目の前のクライエントはなにを話したいのだろうか。今は遠慮していて、すべては語ってはくれません。キャリアコンサルタントが聞いてくれるのを待っています。
日常生活でもこれが上手な人がいます。相手が話したいことを察知して促すように質問ができます。なにも難しくは考えていません。ただ、目の前の相手が話したいであろうことに対して、敏感に反応できる能力に長けているのです。
占いが上手な人というのはまた、質問が上手な人です。質問が上手な人は、キャリアコンサルティングにおける質問場面でも『相談者が最も聞いてほしい気持ち』を聞き出すことに長けています。このプロセスのあとに『展開』が訪れます。
▮ 占いとキャリアコンサルタンティングの効果

『占い』というのは『自らの意思決定を後押ししてくれること』を期待するものです。もしかすると、占いを100%信じて、その日の服装や、食べ物、あらゆるものごとを決めるという方もいるかもしれませんが、多くの場合、相談内容は『自分の中で答えが決まっていること』ではないでしょうか。
占いが上手な人はその人が決定したいと思っていることを短い時間に察しています。そして、「その道できっと正しいですよ」という導きを与えてくれます。「やっぱり自分の考えは正しかった。」と思えることが占いの効果です。
一方、キャリアコンサルティングの場合、相談内容は『まだ自分の中で答えが見出せていないこと』であるケースが多いものです。この方向で『良い』とか『悪い』といった評価をすることなく、まったくフラットな目線で意思決定までの道のりに寄り添っていくことが大切かと思います。その結果、『主体的に意思決定ができるようになる』これが、キャリアコンサルティングに期待される効果です。
▮ キャリアコンサルタントの役割
キャリアコンサルタントは、占い師のように的確なアドバイスによって意思決定を後押ししてくれる人というイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、実際に求めらるのは『傾聴』や『共感』などの基本姿勢のもと、その方の人生を左右する転機に『伴走する』という役割です。
多くの場合、クライエントの意思決定を左右するような明言は控えます。共に考えるという姿勢に近いものです。
それはなぜかというと、キャリアは自分自身のものだからです。アドバイスを求めたくなるくらいに悩んでいるのは、大事な大事な自分のキャリアであるためです。この意思決定の機会は今後生きていく上での大きな自信にもつながります。その機会を奪ってはいけないとも思います。
厚生労働省もこのことを強調しています。
「キャリアコンサルティングを通じて、自分の適性や能力、関心などに気づき、自己理解を深めるとともに、社会や企業内にある仕事について理解することにより、その中から自身に合った仕事を主体的に選択できるようになること。」
キャリアコンサルタントはこの選択プロセスに伴走し、クライエントが自ら意思決定できるようになるかかわり方を期待されています。占いもキャリアコンサルティングも共通して、相談者にとって『人生の道しるべ』になるという大事な役割がありますが、キャリアコンサルタントは相談者が道を決める内面的なプロセスから共にするということを心がけて、向き合っていくことを忘れないようにしましょう。
以上、今回は占いとキャリアコンサルティングについて考えてみました。
次回もお楽しみに。
※占いには多くの立場があり、その中には『傾聴』『質問』を中心とした占いもあれば、統計学を扱う占いもあります。本コラムの内容はあくまでキャリアコンサルタントの立場からの一個人的な解釈として理解いただければと思います。






