安全な信頼関係
『ラポール』や『リレーション』とも呼ばれ、キャリアコンサルタント養成講座やカウンセリングを学ぶ機会では繰り返しその重要性について学ぶ機会があるかと思います。
カウンセリング関係は”守られた関係”です。これには環境的な意味(設定された時間や場所)や守秘義務も含まれますが、ここで解説するのは心理的に守られている関係性についてです。
クライエントが一人の人間として、全人的に受け止められ、クライエントとカウンセラー・キャリアコンサルタントの間に信頼関係が構築されていること。これはクライエントが主体性を回復し、問題に対して自らの力でかかわっていくために必要不可欠なことです。
この関係は非日常の関係です。
非日常であるということは心理的にも、環境的にも日常空間とは切り離されており、だからこそクライエントは真に自由なインサイトを発掘することができるわけです。
それでは、全人的とはどのような意味でしょうか。
一般的な意味としては、「人を、肉体や精神などの一側面からのみ見るのではなく、人格や社会的立場なども含めた総合的な観点から取り扱うさま」のことを指した言葉です。
人には多くの側面があり、悩みとして語られている部分はその一部に過ぎません。
その悩みが故にその人の人間性を推し量ることはできません。
人は自分の経験や価値観と照らし合わせて、相手の人物像を評価します。この評価には「好ましい」「好ましくない」という直感的な評価や、「きっとこういう人物である」という経験的解釈が含まれます。
しかし、全人的に人とかかわるということは、経験的な直感や解釈を参照することなく、あるがままのその人を純粋に感じ取るということです。
あるがままに受け入れられてる。
クライエントがそう感じた瞬間に安全な信頼関係が築かれます。
心を開き、あるがままの自分で、今この瞬間に感じている気持ちを表現することができるのです。
これはカウンセラー側にも同様に求められている自己一致という考え方に通じます。
自己一致については傾聴のための中核三条件のひとつです。
基本的な人間観
最後に、傾聴と共感を支える基本姿勢・基本的な人間観をまとめます。
第一に、人間の独自性や個別性を尊重し、一人ひとりが異なる存在として経験をしている世界があるということを理解することです。
”全人的”にかかわるという姿勢です。
第二に、人間には成長や回復へと向かう”潜在的な力”があり、これを信頼し、かかわっていく姿勢が求められることです。カウンセリングにおいては助言や指示などの介入は適切ではありません。なぜならば、人には自分で自分の問題を解決できる主体性があり、必ず成長や回復をするという前提に立っているためです。
キャリアコンサルタントはクライエントの力を心から信じて、その思いに寄り添いながら技術的にかかわり、意思決定ができるように支援をしていく姿勢が求められます。
第三に、カウンセラーとクライエントの間には”ラポール(信頼関係)”が築かれていることです。ラポールがあるために、クライエントはありのまま感じた思いや考えを口にすることができます。これがクライエントが自ら意思決定をするための貴重な資源になります。
【引用・参考文献】
ロジャース,C.R.,2005 クライアント中心療法 (ロジャーズ主要著作集)保坂 亨 (翻訳), 末武 康弘 (翻訳), 諸富 祥彦 (翻訳)Client-Centered Therapy: Its Current Practice, Implications, and Theory. 1951
≫カール・ロジャーズ「クライエント中心療法」
カウンセラーの心の中を体験する7つの事例プログラム
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