【カウンセリング技法】カール・ロジャーズ『積極的傾聴』

【カウンセリング技法】カール・ロジャーズ『積極的傾聴』

前回の記事では、カール・ロジャーズのクライエント中心療法の背景にある基本的姿勢と人間観を見ていきました。今回は、積極的傾聴技法について確認していきたいと思います。

積極的傾聴

カール・ロジャーズはいかにしてクライエントを独自の存在“として“全人的”に受け止めることを実践していたのでしょうか。

国内におけるクライエント中心療法は1940年代後半頃に知られるようになってから、カウンセリングの主流となりました。

ロジャーズはクライエント中心療法次のように定義しています。

「援助する人が誠実な態度で傾聴し、クライエントと対話ができる関係性のなかでは、どのようなクライエントも成長していく可能性がある。」

クライエントの成長にはクライエント自身の主体性が成長や回復していくプロセスが伴います。その資源となるのが、クライエントの思いや考えです。クライエントが話す思いや考えには多くの資源が隠されており、そのことを知りうるのはクライエントのみであると氏は考えました。

この資源はクライエント自身が気づいていなかったり、意識されていないことも多くあります。「本当はこう思っている」しかし、その思いは社会的に、組織的に許されないために、隠されてしまう。そして、「大きな悩み」として表出されます。

クライエント自身でも気づいていなかったり、意識がされていない思いや考えを表現していただくためには、ラポール関係のもとに、技術的な傾聴技法が欠かせないということです。

ところが、当時、非指示的療法が広まると「カウンセラーは一切の技術的なかかわりをせずに受け身的にただ聞いている」というイメージが先行し、誤解を生むようになりました。

50分間のカウンセリング場面を想像してみてください。第三者的にカウンセラーとクライエントを俯瞰して見たときに、感情を自由に表現しているクライエントは十分なエネルギーを発しているように見えると思います。すると比較してカウンセラーが受け身のように見えるかもしれません。

しかしながら、カウンセラーはその内的な世界において、さまざまな技術を用いて全身全霊で50分間集中して目の前のクライエントにかかわる能動的な活動をしています。

クライエントは今の状況をどのように受け止めて、どう感じて、苦しんでいるのか、その内容だけではなく表情や態度、声の調子から身体動作まで感受性豊かに膨大な量のクライエントの気持ちに関する情報にかかわっています。

この姿勢が、『積極的傾聴』と言われます。

クライエントの内的成長を心から信じ、ダイナミクスをもったかかわりこそが傾聴であるということです。

内的準拠枠

積極的傾聴を実践する際にもうひとつだけ理解を深めておきたいことがあります。

それは、クライエント中心療法でロジャースが概念化した『内的照合枠(internal frame of reference:または内的準拠枠)』です。

カウンセラーにはクライエントの内的な照合枠・準拠枠からクライエント理解を深めることが求められます。

内的準拠枠はその人がその人にしかない独自の『モノゴトに対する評価』にあたります。

例えば、雨の日を体験しても、悲しいと思う人もいればロマンティックだと感じる人もいます。それは独自の内的準拠枠に「雨」を照らし合わせたときに、その人にしか感じられない気持ちがあるからです。

このことは非常に重要な気づきを与えてくれます。

恋人たちが、記念日に喧嘩をしています。一方は記念日を未来への発展という内的準拠枠で捉え、もう一方は過去を振り返る機会と捉えている。一方は結婚と安定を求め、一方は昔のようにまた自由に旅行がしたいという。同じ席を共有していたとしてもそこに存在する内的な世界はまるで違うものなのです。

「このクライエントが体験している苦悩は私も経験したことがある。だからこのクライエントの気持ちを理解できて、苦しんでいる今を救える。」

カウンセラーは決してこのように考えません。

このクラインエントの体験はクライエントの内的準拠枠でしか経験できないことで、彼/彼女の気持ちは私の体験に当てはめることはできない特別な気持ちである、ということをしっかりと理解しています。

これは『Not Knowing』とも表現されます。

目の前の相手の気持ちはその人にしかわからない。私には何もわからない。Not Knowing(知りえることは決してない)だから教えてもらう、訊いて、訊いて、クライエントにしか知りえない世界を教えてもらいます。

私たち一人ひとりが特別な経験をして、自分にしかない感じ方を持っている。それが、内的照合枠です。


【引用・参考文献】

ロジャース,C.R.,2005 クライアント中心療法 (ロジャーズ主要著作集)保坂 亨 (翻訳), 末武 康弘 (翻訳), 諸富 祥彦 (翻訳)Client-Centered Therapy: Its Current Practice, Implications, and Theory. 1951

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