今、ここで感じた気持ちを表現する
ケースを読んで(聴いて)いただきました。その瞬間にどのような気持ちになったか、なるべく正確に表現するとどのような気持ちでしょうか。
純粋に感じた気持ちを示す、しっくりとくる感情語はありますでしょうか。
一体なにがあったのだろう(興味)
どうしよう、困ったなぁ(動揺)
このままだとやばそうだ(不安)
助けてあげたいけど・・(手助け)
この手の人には関わらないほうがいいな(回避)
どうしたら楽になれるだろうか(関与)
それぞれに多様な感じ方がありますが、クライエントの問題把握、カウンセリング技法や見立ては考えずに、純粋に自分の気持ちだけに集中することの難しさを感じていただけるかと思います。
ありのままのカウンセラー
C.ロジャースは、自己一致(純粋性)について次のように説明しています。
カウンセリング関係の中でカウンセラー自身が自由に、そして深く自分自身でいられること、そこで自分が体験して感じていることが正確に意識化され、必要なときにはそれをクライエントに表現することができる態度。
自己一致はまた真実性、透明性とも表現されますが、カウンセラーが嘘偽りなくありのままの態度でいることの重要性を強調しています。
このことは、体験的に深く感じた経験を通じて理解が深まるかと思います。
人の話を聴く
当然ながらそのときに人は相手のことに集中します。自分の気持ちへの意識がおろそかになります。しかし、無意識にも人は相手のメッセージを感じとって、そのときに自分が感じた感情を処理しています。
優秀なカウンセラーは良くも悪くもその感情を意識するトレーニングをしています。
クライエントに対する「嫌だな」という思い
クライエントに対して「嫌だな」という思いを感じ取ったとします。
その思いを無意識に抑圧してしまうと別の形で表出される場合があります。このときに目の前のクライエントはカウンセラーの態度を”演技的”や”うわべだけ”のように感じてラポールを形成できない関係性に陥ってしまいます。
ここで注意しておきたいのは、カウンセラーが「嫌だな」という思いを感じたのでクライエントに対して、「嫌です」と伝えることで純粋性を表現した、というのは自己一致(純粋性)の扱い方に誤りがあります。
カウンセラーが「嫌だな」という思いを感じた、その思いを正確に感じられている自分がいることがカウンセラーの純粋性です。
会社で嫌な上司がいたとしましょう。
「嫌だな」という思いを感じたので、「あなたのこと嫌です」と口に出す人はいないですよね。いたとしたら、おそらく今日にでも会社を辞めるつもりでしょう。
「思い」と「思いやり」
自分の「思い」を正確に理解することと、相手に対する「思いやり」の気持ちは区別します。自分の感じている正確な思いは「嫌だな」だとしても、同時に「思いやり」の気持ちもあるはずなので、ここで起きている感情は例えばこんな感情に近いかもしれません。
「嫌だなと感じるが、思いやりをもって接している」
思いやりの気持ちまで意識できると安らかな気持ちや穏やかな気持ちも生じてきます。
そのとき、自分の中に真に自己一致したカウンセラーとしての自分がいるのかと思います。
【引用・参考文献】
ロジャース,C.R.,2005 クライアント中心療法 (ロジャーズ主要著作集)保坂 亨 (翻訳), 末武 康弘 (翻訳), 諸富 祥彦 (翻訳)Client-Centered Therapy: Its Current Practice, Implications, and Theory. 1951
≫カール・ロジャーズ「クライエント中心療法」
カウンセラーの心の中を体験する7つの事例プログラム
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