解説
相談の概要としては、早期退職について以前から考えているが、退職後の就職先や仕事が見つかるか不安があり、地元に帰って実家で生活する選択肢も考えているということです。この中で主訴にあたる【最も訴えたい気持ち】はどの箇所でしょうか。
最も目を引くのは「教えてほしい」という表現です。これは主体性が低下したクライエントにはよくある事例で、アドバイスを求めるクライエントに対する適切なかかわり方が求められます。大事な思いは「教えてほしいくらい困っている」ということです。
早期退職について考えてはいるものの、退職後のことを人に教えてほしいくらい困っているという気持ちです。
ここに主訴があり、クライエントの問題を解(ほど)いていく重要なキーワードになります。
キャリアコンサルタントのかかわりはしっかりとクライエントの発言を繰り返すことによって傾聴的なかかわり姿勢を示し、関係構築を図りながら、両親に対する思いを確認することで主訴を明確にするねらいがあります。
問題の見立てはいかがでしょうか。
「どういった仕事であれば見つかりそうなのか教えてほしいと思ってきました。」「正社員の働き口はあるのでしょうか。」といった発言を根拠に、就職活動・職業選択に対する主体性に乏しいことが考えられます。
そこで見立てる問題は、クライエントの仕事に対する解像度の低さです。つまり、仕事内容や職業選択、将来に対する考え方が漠然としているということです。
仕事理解や将来ビジョンに対する理解を促進していくことが求められます。
クライエントの問題は東京に一人でいることに対する将来への漠然たるものと考えることができます。もちろんこの中に「仕事をしなければいけない」「仕事が見つかるだろうか」といった不安の要素はたくさん含まれていますが、それらを包括している問題は【ひとり】ということです。ひとりで考えなくてはいけないが、考えきれないために来談されたとも考えられます。
ここにはしっかりと寄り添いを示して差し上げることは重要かと思いますが、もっと重要なことはどうしたらクライエントは不安に向き合うことができるのかという視点です。
クライエントはひとりで生きていく自信がありません。仕事やキャリアに対する自信が持てないでいます。地元に戻って細々とアルバイトをしながら両親のもとにいれば安心が得られそうでしょうか。
これは根本的には解決にならないように感じます。
クライエントには自信が必要です。
これは【自己効力感】とも言いますが、「自分ならやれるだろう」という漠然たるものです。これがないために、どうしよう、不安、教えてほしいという不安な気持ちがどんどん強くなってしまい、ひとりで抱え込んでしまっています。
キャリアコンサルタントに求められるかかわりは、「不安」というキーワードに触れることです。
これが、クライエントの未来を決定づける重要な気づきになるかと思います。






