解答と解説
★解答【問1】発達段階における理論に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.エリクソンは漸成的発達理論の中で、老年期の課題を親密性であるとし、その危機は絶望であることを提唱した。
不適切です。
エリクソンが提唱した老年期の課題は「統合性」です。
2.ギンズバーグは、職業発達のプロセスを乳幼児期、児童期、青年期、壮年期(成人初期)、中年期(成人中期)、老年期の6段階で説明した。
不適切です。
ギンズバーグは空想期・試行期・現実期の3段階で説明しました。説明はハヴィガーストの発達段階6段階です。
3.ハヴィガーストのいう青年期の発達課題は、アイデンティティが拡散した状態から、アイデンティティを確立していくことである。
不適切です。
ハヴィガーストによると、発達段階(成長段階)は乳幼児期、児童期、青年期、壮年期(成人初期)、中年期(成人中期)、老年期の6つで、それぞれに5~10の課題が定義されています。設問はエリクソンが提唱した青年期の発達課題です。
4.レヴィンソンは発達期を、「児童期と青年期」「成人前期」「中年期」「老年期」の4段階であるとし、各発達期は互いに重なる約5年の過渡期でつながっている」と説明した。
適切です。
レヴィンソンは「人生は約25年つづく発達期が繰り返され、各発達期は互いに重なる約5年の過渡期でつながっている」としました。発達期は、「児童期と青年期」「成人前期」「中年期」「老年期」の4段階を定義しています。
★解答【問2】
1.シャインはキャリア初期について、職業を選択するために、自分の価値観を見つけ、能力を開発するための教育を受け、体験を重ねる準備段階にあたる時期であるとした。
不適切です。
この説明は、「成長・探索・探求の時期」についての説明です。
2.エリクソンは老年期の課題として、「満足のいく住宅の確保」をあげた。
不適切です。
説明はハヴィガーストが提唱した老年期の課題です。
- スーパーは、キャリアの発達段階の間には移行期があり、移行期には新たな段階へ進むための意思決定の過程が含まれるとした。
適切です。
スーパーは、キャリアの発達段階の間には移行期があり、移行期には新たな段階へ進むための意思決定の過程が含まれることを説明しました。
4.シャインはキャリア発達に焦点を当てた発達段階を提唱し、「成長」「エントリー」「基本訓練」「キャリア形成」「キャリア期の終了」の5段階でキャリアが進行していくとした。
不適切です。
シャインは、ライフステージの中でもキャリア発達に焦点を当てた発達段階を提唱し、その段階は次の9段階であるとしました。
①成長・探索・探求(0~21歳)
職業選択のために、自分の価値観を理解し、能力開発のための教育を受けながら、体験を重ねる準備段階にあたる時期とされています。
②仕事の世界へのエントリー(16~25歳)
初めて、企業や組織に入り、職業に就く時期です。組織における仕事のやり方を学びながら、自分の役割や置かれる立ち位置を発見・模索していく段階です。
③基本訓練(16~25歳)
仕事の世界へのエントリーと同時進行的に、実際に仕事に取り組み、困難に直面しながらも乗り越えながら、徐々に組織の一員として定着していく時期です。
④キャリア初期(17~30歳)
責任のある仕事も徐々に任されるようになる時期です。独立を求める自己と従属させようとする組織の間で、葛藤が生じやすい時期でもあるとされています。
⑤キャリア中期(25歳以降)
組織の中で明確な立場を確立していく時期にあたります。スペシャリスト(専門性)かジェネラリスト(一般管理)かの方向性が決まる重要な時期でもあります。
⑥キャリア中期の危機(35~45歳)
仕事を通じて、自分の価値観や能力をより明確に理解する時期です。再認識した価値観を重視するのか、現状に留まるかの課題があり、自己の中で葛藤が生じやすい時期とされています。
⑦キャリア後期(指導者役or非指導者)(40歳~引退)
十分な経験を積み、後輩育成など指導者的立場を担う安定的なキャリアの時期です。
⑧衰え及び離脱(40歳~引退期)
職務適合性(能力のミスマッチ)や体力・影響力の衰えにより、組織から少しずつ距離を置き、引退の準備を考え始める時期です。
⑨引退
後進に道を譲るため引退をする時期にあたります。引退に伴う様々な変化を受け入れ、新しい生き方を模索する時期です。
★解答【問3】スーパー(Super, D. E.)が提唱するキャリア発達に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
1.スーパーは、個人が自らのキャリアを形成する際に最も大切で、他に譲ることのできない価値観や欲求や周囲が変化しても、自己の内面で不動なもののことをキャリア・アンカーであるとした。
不適切です。
キャリア・アンカーの説明ではありますが、キャリア・アンカーを提唱したのはシャイン(エドガー・H・シャイン)です。
2.スーパーは、キャリアは、単なる職業だけでなく、個人が経験する多様な役割とそれらへの取り組み方によって構成されるとした。
適切です。
3.スーパーは、ライフステージの段階には5段階があるとし、確立期には職業的地位を維持し、新しいスキルを習得する時期であるとした。
不適切です。
職業的地位を維持し、新しいスキルを習得する時期は「維持期」のテーマです。
4.キャリア・アンカーには8つの要素があり、そのうち、「専門・職能別のコンピタンス」とは、組織の中で、責任のある役割を担うことを示している。
不適切です。
シャインが提唱したキャリア・アンカーは次の8つのコンピタンスです。
①専門・職能別・・・自分の技能・専門性が高まり、活用できること。
②全般管理・・・組織の中で、責任のある役割を担うこと。
③自立・独立・・・仕事を自分のやり方で主体的に取り組むこと。
④保障・安定・・・会社の雇用や、保障などの経済的な安定。
⑤独創性・・・クリエイティブに新しいことを生み出す、会社や事業を起こす機会。
⑥奉仕・社会貢献・・・社会貢献や、奉仕活動。
⑦純粋な挑戦・・・解決困難な問題に挑むこと。
⑧ライフスタイル・・・個人的な欲求と家族・仕事とのバランスを調整すること。
設問4の説明は「全般管理」におけるテーマです。
★解答【問4】エリ・ギンズバーグ(Ginzberg,E.)の理論について説明した次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1.ギンズバーグは発達を10年以上にわたる長いプロセスと提唱し、生涯に渡るプロセスで可逆的(後戻りすることがない)と強調した。
不適切です。
ギンズバーグは発達を10年以上にわたる長いプロセスと提唱したのちに、生涯に渡るプロセスで可逆的(後戻りすることもある)と修正をしました。
2.ギンズバーグは職業選択に3段階があり、空想期(生後~11歳)、試行期(11~17歳)、現実期(17歳~20歳台初期)に分けることができるとした。
適切です。
3.ギンズバーグは前期理論で、発達は10年以上にわたるプロセスであり、非可逆的で、現実との妥協が重要であることを提唱した。
適切です。
4.ギンズバーグは後期理論で、職業選択のプロセスは、成人前期で終わるわけではない。労働生涯の全期間を通じて存在しうるとした。
適切です。
ギンズバーグは前期理論と後期理論で、その理論に修正を加えています。次のポイントを抑えておきましょう。
【発達理論前期】
・10年以上にわたる
・プロセスは非可逆的
・現実との妥協
【発達理論後期(3つの命題)】
・生涯通して
・後戻りも可能
・個人的要因の最適化の過程
【発達段階】
・空想期(生後~11歳)
・試行期(11~17歳)
・現実期(17歳~20歳台初期)
★解答【問5】ダニエル・J・レビンソン(Levinson,D.J)の理論について説明した次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1.レヴィンソンは「人生は約25年つづく発達期が繰り返され、各発達期は互いに重なる約5年の過渡期でつながっている」とした。
適切です。
2.レヴィンソンは人生半ばの過渡期に訪れる心理的課題を「人生の正午」とし、若さと老い、破壊と創造、男らしさと女らしさ、愛着と分離といった課題があるとした。
不適切です。
人生半ばの過渡期に訪れる心理的課題は「中年の危機」で、設問に記載のような2つの対立したテーマで葛藤を感じやすい時期であるとしています。
「人生の正午」はカール・グスタフ・ユングが、人生を1日の太陽の動きになぞらえた考え方で、人生の前半と後半の境となる時期のことを言います。
3.レヴィンソンによると、発達期は、「児童期と青年期」「成人前期」「中年期」「老年期」の4段階が定義できる。
適切です。
4.人生半ばの過渡期には、これまでのやり方に疑問を抱きやすく、新しい道を切り開くか、これまでの道を修正するのに数年を要するとした。
適切です。
レヴィンソンは人の発達段階について、「安定期」と各段階の境目にある「過渡期」を繰り返しながら発達すると考えました。また、過渡期はキャリアを発展させる機会であるとし、過渡期をトランジション(転機)として捉えることを提唱しました。






